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森の学校2023 親子で遊ぶ「なまはげの森」

 2023年5月27日(土)、森の学校2023 親子で遊ぶ「なまはげの森」が男鹿市北浦真山で開催された。参加者は、11家族40名が参加。男鹿に咲く奇跡の花「チョウセンキバナアツモリソウ」や植物にやってくる昆虫の観察、アカハライモリ、サワガニなどの生き物を捕まえたり、雑木林に絡みつく太いフジのツルを利用した空中ブランコや木登り、倒木を利用した丸太渡り、アーチ型の木を利用した天然滑り台、急斜面を自力で登ってはお尻で滑り下るなど、天然のアスレチック&遊具で遊びまくった後、涼しい小沢で昼食。午後からキッズバージョンの沢登りがスタート。道なき沢筋のルートを歩き、小滝登りや滝壺を湯船に見立てた水遊び、ナメの小滝で天然ウォータースライダー遊び、長大なナメ滝のシャワークライミングでクライマックスに達した。「なまはげの森が人を育てる」・・・そのパワーの素晴らしさは、全身泥だらけ、ずぶ濡れになりながらも、子どもだけでなく親も一緒に楽しんだ最高の笑顔が全てを物語っていた。
  • 主催 特定非営利活動法人Akitaコドモの森
  • 協力 秋田県森の案内人協議会、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
  • 講師・スタッフ・・・男鹿の自然を考える会代表の安田勲さん、野外保育・野外活動を専門とする「Akitaコドモの森」スタッフ4名、森の案内人3名、秋田県森林学習交流館インストラクター2名 
  • 男鹿に咲く奇跡の花「チョウセンキバナアツモリソウ」・・・国内では男鹿国定公園内だけに自生し、絶滅危惧種1A類及び国内希少野生動植物種に指定されているラン科植物。1980年代から大量盗掘が相次ぎ、1998年には自生地の株数が約50株まで激減。2000年、「男鹿の自然を見つめ直す会」を立ち上げ、巡回啓発活動を続けているほか、環境省の依頼を受けて保護増殖活動も行われている。
  • ニホンミツバチ・・・日本在来のミツバチで、体色は全体的に黒っぽい。腹節に黄白色帯があり、縞模様がはっきりしている。近年、農薬散布がある農村や蜜源が安定しない山村部より、一年中樹木の花が咲き続く住宅地、市街地はニホンミツバチにとって良好な生息環境になっていると言われている。一方、在来種の保護、趣味養蜂への関心が高まり、ニホンミツバチを養蜂する人が増えてきている。
  • 参考ページ:昆虫シリーズ④ ミツバチ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • エゾタンポポ・・・在来種のエゾタンポポは、花を包む総苞の外片が反らないのが特徴。ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポは繁殖力が強く、在来種を片隅に追いやり、激減してしまった。
  • アズマヒキガエルのオタマジャクシ(上右写真)・・・沼には 、卵からふ化したオタマジャクシが群れをなしていた。
  • 子どもたちは、九十九折の道など歩かず、ツルを頼りに最短コースを直に下ったり、木橋の下を潜ったりしながら、なまはげの森の奥へと進む。
  • スミナガシの食草・アワブキ・・・葉の裏面は毛で覆われ、隆起した側脈が規則的に並ぶのが特徴。この葉は、スミナガシの幼虫が好んで食べることで知られているが、アワブキ自体の数が少ないため、葉裏にはかなりの確率で潜んでいると言われている。なお名前の由来は、木を燃やすと切り口からたくさんの泡を出すことから。
  • 参考:スミナガシ・・・日本人好みのチョウで、マニアにも人気が高いタテハチョウの仲間。名前の由来は、黒っぽい中に複雑な模様があるハネを「墨流し」で作った模様にたとえたもの。(スミナガシの写真提供:左合 直氏)
  • シャクトリムシ(尺取り虫)・・・シャクトリムシの歩き方は、大きな魚などのサイズを測ろうと、親指の先から中指の先までを単位にして測る時とそっくり。だから、尺を取る(=測る)という意味から、「尺取り虫」の名がついた。 
  • 急斜面を自力で登ってはお尻で滑り下る遊び①・・・なまはげの森には、至る所に急な斜面が連続している。その斜面を草付けをつかみながら自力で登り、斜面を滑り台代わりに滑り降りる遊びを繰り返す。お尻が泥だらけになるので驚いたが、これはほんの序の口だった。 
  • 太いフジのツルを頼りに木登りを楽しむ・・・ナマハゲの森には、驚くほど太いフジのツルが雑木林にからみついたり、空中にぶら下がったりしている。これは子どもたちにとって、格好の遊具である。昔、林の中にあったツルを使い、夢中で「ターザンごっこ」をした記憶が蘇るシーンであった。思えば、大人の誰もがそんな子ども時代があったはずだ。
  • アーチ型の木は天然滑り台・・・根元から上り、アーチの頂上から枝先に向かって滑り降りる。 
  • ツルが巻き付いた倒木に腰掛け、シーソーのように上下に揺らして遊ぶ
  • ツルを使った空中ブランコ・・・まるで天然のアスレチック&遊園地のような遊びが続く。
  • 休憩 
  • ツノハシバミ・・・葉先の半分に不揃いの重鋸歯が所々突き出ていて、葉の先端が鋭く尖る。秋、毛だらけの丸い実に長い角が、細長いクチバシのような奇妙な形をしているのが名前の由来。その中には、ドングリ型の堅果が入っていて、昔から食用にされている。
  • 旅する毒チョウ・アサギマダラの♂がよく集まるヒヨドリバナ・・・時に数千キロの移動を行うアサギマダラは、秋田でもよく観察される。そのチョウを観察するために、ヒヨドリバナは刈らずに残しているという。♂がよく集まるヒヨドリバナやフジバカマなどには、鳥などの捕食者にとって毒になる物質を含んでいる。それを体内に取り入れ蓄積することによって、捕食者から身を守るために集まる。さらに♂は、その成分から性フェロモンを作り出す重要な役割もある。
  • 参考ページ:昆虫シリーズ⑪ 毒のあるチョウ「警告色」 | あきた森づくり活動サポートセンター
  • サイハイラン・・・葉は、普通1枚つける。名前の由来は、花の様子を戦場で指揮官が兵を指揮する采配に見立てたもの。
  • 底まで見える澄んだ池で生き物を探す 
  • アカハライモリ・・・皮膚がザラザラしていて、お腹が赤いイモリ。 池のほか、水田、川の淀みなど流れのない淡水中に生息する。
  • 苔むす倒木を渡る・・・バランス感覚が試される。森で思いっきり遊んだせいか、誰一人落ちる子どもはいなかった。 
  • 両端が宙に浮いた倒木に乗り、全員で上下に揺らす・・・バランス感覚が悪いと落ちるはずだが、大人が揺すっても誰一人落ちる子どもはいなかった。 
  • 涼しい小沢で楽しい昼食。 
  • 清流の証・カワゲラの成虫・・・大きいので、一瞬ヘビトンボかと思ったが、ハネが小さいのでカワゲラの仲間。いずれもきれいな水の指標種になっている。
  • コメツキムシの仲間
  • タチカメバソウ/ネコノメソウ
  • ルイヨウボタン・・・葉の形がボタンの葉に似ていることから「類葉牡丹」と書く。花は地味な黄緑色の花を咲かせる。
  • 沢で生き物探し・・・石をそっとひっくり返すと、サワガニがたくさん捕れた。サワガニは、藻類や水生昆虫、陸生昆虫類、カタツムリ、ミミズなど何でも食べる。水生昆虫を採取する網があれば、カワゲラやトビゲラ、カゲロウなどの幼虫も捕れたに違いない。 
  • 斜面から湧き出す名水で喉を潤す
  • 急斜面を自力で登ってはお尻で滑り下る遊び②・・・トチノキの巨樹が仁王立ちした急斜面は、斜度、長さとも、この森の中では上級レベル。まず泥の急斜面を巨樹の根元まで登るのが大変だ。泥の斜面で滑ったり、草付けの草が抜けたりなど四苦八苦。基本は三点確保で登るのが基本だが、誰も教えてくれない。自らの判断で、かつ誰の力も借りずに自力で登る。これがなかなか難しい。まさに「失敗は成功のもと」であることを体で学ぶ。
  • お尻で滑り下る迫力に満面の笑み!・・・難度の高い急斜面を苦労して登った分だけ、滑り下るスビート、スリル、快感、満足度は高い。子どもたちは、泥だらけになりながら遊びに夢中。
  • いよいよ道なき道の沢登り開始。 
  • 滝壺を湯船に見立てて、「いい湯だね~」
  • ナメの小滝のスロープで、滝頭から滝壺めがけて滑り落ちる天然ウォータースライダー遊び。子どもたちは、もはや沢遊びの達人と化していた。これにはマイッタ!
  • 滝壺に浸かって、汚れた泥を洗い流す
  • 分厚い苔に被われた階段状の小滝を登る。
  • 自然の造形美「岩盤水路」を登る・・・水が長い年月をかけて造った自然の造形美を鑑賞することも、沢登りの楽しみの一つ。
  • 沢登りのクライマックス「シャワークライミング」・・・蒸し暑い夏の沢登りで最も楽しいのは、滝のシャワーとマイナスイオンを全身に浴びて登るシャワークライミングである。この長大なスロープを滑るように流れ落ちるナメ滝は、キッズバージョンのシャワークライミングとして一級品である。子どもたちの活き活きとした笑顔に、こちらまで嬉しさ満点であった。