本文へスキップ

森の学校2023 クリプトンの森で遊ぼう!

 2023年5月13日(土)、「森の学校2023 クリプトンの森で遊ぼう!」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。親子9組、28名が参加。森林インストラクター会の皆さんを講師に野鳥の森を散策しながら、昆虫マニアに人気のキタマイマイカブリやクスサンの繭、幹に擬態したイモムシ、アリの巣と卵などを観察したり、鳥の鳴き声、樹木や草花の名前から生き物とのかかわりなどについて学んだ後、親子で森のクラフトづくりを楽しんだ。
  • 共催 秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン 、秋田県森林インストラクター会
  • 協賛 (一社)秋田県森と水の協会
  • 講師・・・森林インストラクター7名 
  • トチノキは目立つ花と香りで昆虫を誘う・・・たくさんの花を一つに集めた白い大きな花序を一斉に上向きに咲かせる。それはよく目立ち、近づくと美しい色の花びらを広げて、ほのかな甘い香りを発散させて、ハエ、アブ、チョウ、ガ、甲虫類、ハチ類などの訪花昆虫を誘う。これを「ディスプレー効果」という。
  • 参考ページ・・・樹木シリーズ⑳ トチノキ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • ガの仲間クスサンの繭「スカシダワラ」・・・7月頃、楕円形の固い網目の繭を作ってサナギになる。9~11月に成虫になる。卵は灰白色俵状で、地上2mまでの幹や太枝に数十個ずつかためて産みつけ、卵で越冬する。冬から初夏にかけて、木の枝に羽化した後の粗い網目状の空繭をよく見掛けるが、俗に「スカシダワラ」と呼ばれている。 
  • 虫にとっては恐ろしいマムシグサ・・・花の形は、マムシが舌を出したように見える。マムシグサは、花粉を運んでもらうために、ハエの好きな匂いを出す。その匂いにだまされてやってきたハエは、雄株の花の上から誘い込まれるように入ると、花粉まみれになって、下にある隙間から外に逃げ出していく。ところが雌株には、ハエが逃げる隙間がない。雄花から花粉をつけてやってきたハエは、死ぬまで歩き回る間に雌しべの先に花粉がつき、秋には真っ赤な実をたくさんつける。マムシグサは、匂いで虫をだまして誘い込み、確実に受粉をさせた上に殺してしまうという、虫にとっては恐ろしい植物である。
  • ニホンリスがクルミを食べた食痕・・・樹木見本園に生息しているニホンリスお気に入りの食事場所には、クルミを食べた殻が山のように落ちている。写真のとおり、実がきれいに二つに割れている。リスは、クルミの縫合線に沿って歯を差し込み、時間をかけてパカッと二つに割ってから、中の美味しいクルミを食べる。
  • 参考ページ・・・樹木シリーズ24 オニグルミ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • アカネズミがクルミを食べた食痕・・・アカネズミはクルミが大好きだが、リスのように綺麗に割ることができない。何とあの硬いクルミのど真ん中に円形の穴を開けて食べる。 
  • 森のエビフライ(上左写真)・・・松ぼっくりの中の種を、ニホンリスやネズミが食べた残骸を「エビフライ」と呼んでいる。アカマツの球果には、40~50個の種が入っている。この種を取り出すためにリスなどが鱗片をかじって剥がす。果軸を刈り上げたように綺麗にかじっていればネズミ、長いヒゲ状の残骸が残っていればニホンリスの可能性が高い。 上の写真は、「リスのエビフライ」である。
  • 北米原産のリキダマツ(上右写真)・・・松ぼっくりを手で握ると痛い。何とリスに食べられないように鋭いトゲを持っているのが特徴。松の実は、動物たちにとって美味しくて栄養満点。だからそれを狙う動物たちに食べられないようにトゲトゲの松ぼっくりをつくるようになったと考えられている。 
  • トラップ設置で捕らえたキタマイマイカブリ・・・オサムシの仲間は、チョウやトンボなどと違って、普段目にすることがない。それは夜に活動するからである。日中、落ち葉の下などを探しても簡単に見つけることはできない。だから、地面すれすれの高さにコップの口が来るように埋めた「落とし穴式ピットフォールトラップ」を設置して採集する。今回、小沼インストラクターが採集したのは、マニアに人気の美麗種・キタマイマイカブリ。
  • 参考ページ・・・昆虫シリーズ36 オサムシ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • キタマイマイカブリ・・・オサムシの仲間は、飛ぶことができないので、他の地域との交流がない。だから地域的な変異が大きく、「歩く宝石」と呼ばれる美麗種が多い。その一つが北東北に生息する美麗種・キタマイマイカブリである。金属光沢を放ち、頭部と首は色鮮やかな赤紫色、胴体は深緑色をしている。人気が高く、マニアの間では「キタカブリ」と呼ばれている。なお、首が長いのは、カタツムリの殻に、首を奥まで突っ込んで食べるためである。
  • 森林性のムネアカオオアリ・・・野鳥の森のような森林公園から里山の雑木林、白神山地のようなブナ原生林まで広く見られ、クロオオアリと並んで日本最大のアリ。その名のとおり、胸が赤い。地中ではなく、ブナなどの老齢木の朽木に巣をつくる。特に国の天然記念物・クマゲラの大好物。ムネアカオオアリの天敵は、トゲアリで、巣に侵入して、巣を乗っ取る。
  • 参考ページ・・・昆虫シリーズ40 アリの仲間 | あきた森づくり活動サポートセンター
  • ダンゴムシ・・・名前に「ムシ」とついているが、昆虫ではなく、エビやカニなどと同じ甲殻類。脚は7対14本。刺激を受けると、腹面を内側に丸まり、ほぼ完全な球形になる。これが「団子のような虫」の由来である。オカダンゴムシは、地面の落ち葉を食べ、第一分解者として土づくりに参加している。
  • ウワミズザクラ、ナナカマド
  • チゴユリ、スミレ  
  • ミツバツチグリ、セイヨウタンポポの綿毛 
  • ニホンアマガエル・・・カエルは水辺に住むものと思いがちだが、ニホンアマガエルは樹上での生活に適応していて、野鳥の森にもたくさん生息している。 
  • クマが大好物なブナの実・・・殻の中には、三角形の茶色の実が二つ、向かい合って入っている。そのドングリの形がソバの実に似ていて、クリのような味がするので、別名「ソバグリ」とも呼ばれている。脂肪分が多く香ばしいブナの実は、人間が食べても美味い。
  • クマ棚・・・ クマは、ブナの実がなった枝を手繰り寄せて折り、食べ終わった枝を自分の尻に敷く。次第に鳥巣状のベットになる。これを「クマ棚」と呼び、その上で眠ることもある。
  • 参考ページ・・・樹木シリーズ⑰ ブナ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • 若い葉のツタウルシに注意!・・・樹液にかぶれ成分を含み、その威力はウルシ科の中で最強と言われている。見分け方は、ウルシ属で唯一、小葉が3枚の3出複葉であること。特に若い葉は、ツタに似た粗い鋸歯があるので紛らわしく注意が必要。深緑になるにつれて鋸歯はなくなる。3枚葉のつる植物を見つけたら、近づかないことが肝要である。
  • 参考ページ・・・樹木シリーズ150 ツタウルシ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • ササバギンラン、ツボスミレ、ゴヨウアケビ 
  • 底のない巣箱は何用?・・・アカゲラは、普通の巣箱も利用するが,これでは他の鳥が利用したり,出入口が1か所なので天敵が侵入しても逃げられないなどの欠点があった。アカゲラが内壁に止まって寝る習性に合わせて、森林総合研究所がアカゲラ専用の底のない巣箱を考案したもので、アカゲラなどキツツキ類のねぐら用底なし巣箱である。 
  • センダイムシクイ・・・広葉樹林の枝先の葉の間で、「チョチョ、ビィー」とか「チヨチヨチヨ、ビィー」などと囀る。この声を「焼酎一杯、グィー」あるいは「鶴千代君」などと聞きならされている。名前の由来は、宮城県の仙台とは関係がない。その「せんだい」とは、囀りの「千代千代」の漢字が充てられ、それが「せんだい」と読まれ、さらに「仙台」の漢字に変更されてしまった。「むしくい」は、虫喰いの意味である。
  • 参考ページ・・・野鳥シリーズ83 センダイムシクイ | あきた森づくり活動サポートセンター
  • 幹に擬態したイモムシ・・・ヤガ科のシタバガ類やカレハガ科のイモムシは、枝や樹皮に似ていて、簡単には見つからない。それを子どもは見事に見つけた。子どもたちは、天敵である鳥より目が良いことに驚かされる。
  • アリの巣と卵・・・伐根の木の皮を剥いだら、アリの巣とその中に産み付けられた卵が出てきた。大変珍しい光景だけに、参加者は興味津々だった。 
  • 森のクラフト・ミニリースづくり
  • 作業風景
  • 子どもたちの作品
  • クリプトンの森で採集された甲虫の標本・・・カブトムシ、キタマイマイカブリ、アオオサムシ、クワカミキリ、ウスバカミキリ、ノコギリカミキリ、ゴマダラカミキリ、オオセンチコガネ、ニワハンミョウなど