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森の案内人と行く!おやこde森探検!

 2022年5月18日(水)、「森の案内人と行く!おやこde森探検!」(秋田県水と緑の森づくり税事業)がクリプトン野鳥の森を会場に行われた。雲一つない快晴に恵まれ、ガ(クスサン)の繭(まゆ)やホオノキの葉でお面をつくったり、サンショウ・オオバクロモジの香りをかいだり、草笛を吹いたり、クルミを食べたのは誰だ?、花が咲いている植物の名前、森の中にいた虫をつかまえるなど、おやこde楽しい新緑の森探検を満喫した。
  • 主催団体 あきた木育応援団 木 sodate
  • 講師・・・森の案内人「ひろちゃん」こと酒井浩先生(森の案内人協議会副会長、森林インストラクター会会長) 
  • 新緑の森探検に出発・・・クリプトン裏庭から野鳥の森を巡るコース
  • ガ(クスサン)がつくった繭・・・7月頃、楕円形の固い網目の繭を作ってサナギになり、9~11月に成虫になる。冬から初夏にかけて、木の枝に羽化した後の粗い網目状の空繭をよく見掛ける。これを、俗に「スカシダワラ」と呼んでいる。 
  • ホオノキの葉でお面をつくって遊ぶ・・・人の顔が隠れるほど大きいので、お面をつくる材料に適している。葉に穴を開けて目、鼻、口の形をつくると、立派なお面になる。 
  • サンショウ・・・葉をかいでみると、スパイシーさとカンキツ類のさわやかさが混ざったような芳香がある。だから葉は料理のツマとして、魚を煮る時には臭み消しとして利用される。  
  • サンショウの葉が好きな虫は?
  • アゲハチョウはサンショウの葉が大好き・・・春、サンショウが芽を出して間もない頃から、葉が枯れ落ちる頃まで、アゲハチョウの幼虫が見られる。この幼虫を飼育箱に入れ、サンショウの葉を与えて飼育すると、美しい羽化が見られる。  
  • 和菓子の爪楊枝に利用されるオオバクロモジ・・・幹や枝が緑色をし、枝を折ると芳香があることから、和菓子の楊枝に欠かせない樹木。芳香、殺菌力、丈夫さなど、他の木には代えがたい価値がある。
  • オオバクロモジの葉は、草笛に適している・・・草笛を吹いて遊ぶ。うまい人が吹くと、音楽を奏でるような美しい音色を出すことができる。下手な人が吹くと、オナラのような音しかでない。
  • ニホンリスのお話・・・自ら撮影したリスの写真で解説 
  • 森のエビフライ・・・松ぼっくりの中の種を、ニホンリスやネズミが食べた残骸を「エビフライ」と呼んでいる。アカマツの球果には、40~50個の種が入っている。この種を取り出すためにリスなどが鱗片をかじって剥がす。果軸を刈り上げたように綺麗にかじっていればネズミ、長いヒゲ状の残骸が残っていればニホンリスの可能性が高い。 上の写真は、「リスのエビフライ」である。 
  • ニホンリスがクルミを食べた食痕・・・樹木見本園に生息しているニホンリスお気に入りの食事場所には、クルミを食べた殻が山のように落ちている。写真のとおり、実がきれいに二つに割れている。リスは、クルミの縫合線に沿って歯を差し込み、時間をかけてパカッと二つに割ってから、中の美味しいクルミを食べる。
  • 動画「オニグルミを食べるニホンリス」(クリプトンの森)
  • アカネズミがクルミを食べた食痕・・・アカネズミはクルミが大好きだが、リスのように綺麗に割ることができない。何とあの硬いクルミのど真ん中に円形の穴を開けて食べる。
  • 恐ろしい仕掛けで虫を誘うマムシグサ・・・花の形は、マムシが舌をだしたように見える。マムシグサは、花粉を運んでもらうために、ハエの好きな匂いを出す。その匂いに騙されてやってきたハエは、雄株の花の上から誘い込まれるように入ると、花粉まみれになって、下にある隙間から外に逃げ出していく。ところが雌株には、ハエが逃げる隙間がないので、そのまま死んで食べられてしまうという。虫を騙して誘い込み、確実に受粉をさせた上に殺してしまうという恐ろしい仕掛けが隠されている。全く動けないマムシグサだが、自由自在に動く虫よりもはるかに賢いことが分かる。植物はスゴイ!
  • ヒトクチタケ・・・枯れた松の木の側面に発生。食用には向かないので食べないように。
  • フクロウが好きな食べ物は?
  • フクロウの主食はネズミ・・・フクロウは音を立てずに飛ぶことができるので、ネズミを簡単に捕獲できる。音を立てずに飛ぶことができるフクロウの風切羽の構造は、新幹線の騒音対策として車輛の設計にも応用された。写真提供:髙久 健氏 ブログ「ケンさん探鳥記
  • ヤマウルシ・・・かぶれの原因となるので注意。葉柄、葉軸が赤いので危険!と覚えておいてください。
  • ハリギリ・・・枝に針のような刺があり、キリのように成長が早く、材や大きな葉が似ていることからハリギリ(針桐)。 
  • スミレ、ミツバツチグリ 
  • 参加した子どもたちの中には、「昆虫ハンドブック」を片時も離さない子どももいた。幼稚園児がニワハンミョウを捕まえ、「ハンミョウだ」と正確な名前を叫んだのには驚かされた。将来は、手塚治虫や香川照之のような「昆虫すごいぜ!」少年に育つことだろう。
  • トチノキの葉・・・もともと1枚の葉であったのが5~7枚の小葉に分かれたと考えることができる。だから、小葉の付け根はぴったり1カ所に集まっている。 
  • フデリンドウ・・・雑木林の下など乾いたところに生える。よく似たハルリンドウは根生葉があるが、本種にはない点で識別きる。
  • 今年はブナの実豊作?・・・クリプトンの森や周辺の山々では、久々にブナの実がたくさんついている。今年は豊作になるのではないか。クマは、ブナの実が大好き。豊作となれば、今冬はクマのヘビーラッシュになる一方、来年は100%不作で、危険な親子グマに遭遇する確率が高くなるので注意!
  • モミジイチゴ・・・木イチゴの中では最も美味しい。6月頃、黄色に熟す。 
  • カタバミで10円玉をピカピカに・・・小さな黄色い花を咲かせるカタバミの葉で、薄黒くなった10円玉をこすって磨くと、まるで新品の10円玉に変身。その秘密は、カタバミに含まれるシュウ酸が10円玉の黒く酸化した銅を取り除き、内側の真新しい銅が現れるからである。
  • 新緑の森探検は、たっぷり2時間・・・大変勉強になりました。子どもたちには、ちょっと難しいものもあったので、復習の意味で詳細に解説してみました。今度、森を歩く時の参考にしていただければ幸いです。